ナナメの関係を築くことが、「揺れ」に強い人間を作る /藤原和博インタビュー

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2019年2月に配信した『僕たちは14歳までに何を学んだか 新時代の必須スキルの育み方』の著者・藤原和博氏へのインタビュー。今回は、メルマガに掲載しきれなかったお話をご紹介します。

親世代の成功体験が通用しなくなったからこそ、新たな教育の形が求められる

ーこの本にも登場される堀江貴文さん、亀山敬司さんなど起業家が学校を作ることが増えていますよね。

藤原:教育に携わりたいと考える起業家は多いですよね。もっと増えてほしいくらい。AIの時代がやってきて、これまでの親世代が持っている成功体験では子どもの世代に通用しなくなってきたことも関係している。

今までは普通高校から大学に行って、普通の会社…いわゆるホワイトカラーの事務職が、夢というか目標だったわけだよね。

ところが、AI化が進んで事務的な仕事が半減するとも言われていて、大手の銀行でも数万人のリストラをする時代になった。今、5、6歳の子が大人になる頃には、ホワイトカラーの仕事はもうほとんどないと思うのね。

そうすると、親世代は迷うよね。自分たちの価値観は当てはまらないと頭ではわかっているけど「じゃあ、どうしたらいいの?」と。

そこで、起業家の作るような新しい形の教育が求められるようになる。起業家による高校が100校くらいあって、毎年100人くらい入学する。そうすると、その1万人の生徒の中から、100人くらいはいろいろな分野で突出できるようになるかもしれない。

新しい学校であればそのような生徒たちをしっかりサポートするというのが可能になってくる。

「友達のような親子」はあり得ない

藤原:自分の本にも書いてるけど、子育てに正解なんか絶対ないんだよね。

ITの革命家であり投資家・堀江貴文さんと孫正義さんを例に出すと、堀江さんは親から褒められずに育ってきたと言っている。一方で孫さんはもう褒められ続けて、「お前は天才だ、天才だ」って自分の親に聞かされてきたと。

だから、褒めりゃいいってもんでもない。同じことをやったとしても、その子の受け取り方ひとつ。その子の置かれてる環境や性格で全然違うから。

親子関係についてはどうなのかというと、アンケートに表れてる。「子どもとはどんな関係が理想的だと思うか」という質問に対して、「友達のような関係」と答える親が6、7割いるんだよね。僕はこの関係がありえないと思っていて、気持ち悪いとすら感じてる。

親子が友達のようになると、おそらく反抗期はないよね。子育てするのに反抗期はない方が親は楽。でも、友達のような関係が続いていたら家から出ていかないと思うよ、いつまでも。

だから、家はある程度居心地の悪い方がいいと思う。お父さん、お母さんに懐くのはいいし、小学校であったことを全部ぶっちゃけて喋ってもいいとは思う。

でも、中学生になってまでそれをするのは僕は信じられない。親をウザく感じたり、ちょっと秘密を持ったりして隠れてなんかするとかさ。子どもがそういうことをするのは、もっともなことだと思う。

やっぱり父親か母親のどちらかが壁になるべき。ダメなものはダメだと言わないと。親子が友達っていうのは、僕はダメだと思う。

ナナメの関係性を家族・学校以外の場で築く

ーなぜ今の子どもたちは自己肯定感が低く、承認欲求が強いと言われてしまうのでしょうか。

藤原:結論から言うと、少子高齢化ですよね。日本の社会で少子化と核家族化が同時に起こったんです。さらにそこに、地域社会の崩壊が重なったっていうことが大きいですね。

解説すると、団塊の世代だと5人とか7人兄弟が当たり前にいたんですよ。そうすると、親は子どもの細かいところまでいちいち見ていられない。

一方で今の世代は少子化で、子供が1人か2人だから親の目が行き届く。それは一見いいように思うんだけど、親として子どもができないことを気にしちゃうのよ。ちゃんとした親であればあるほどいっぱいダメ出しをしちゃうわけ

そして、学校でも同じことが起こるんですよ。昔みたいに十何クラスもあったら、担任といっても目が行き届かない。都会の学校だと今はもう、1学年でクラスは一つか二つだから、先生の目が行き渡っちゃう。目が行き届くから担任の先生が熱心であればあるほど、より多くのバツを出しちゃう。その結果、漢字が書けないとか、算数が嫌いとか、苦手なものが増える。

家でも学校でもマルよりもバツをいっぱい出されちゃうから、子どもの自己肯定感が低くなるのは、当たり前の理屈なんですよ。

その関係性は家屋で例えるとわかりやすい。縦の関係、つまり親と子・先生と生徒の関係が強いというのは、柱が太いということ。友達との関係がいいというのは、横の梁が強いということ。でも、柱と梁がいくら強くても、地震が起こったらパタッと倒れちゃう。

丈夫にするには、筋交い(すじかい)というのが入っていないといけない。いわゆるナナメの関係。これは、人間関係上においてもすごく大事なことなんだけど、今はそれが不足してるの。

今の子は「ナナメの関係欠乏症」って言ってもいいかな。人間関係の揺れに弱いんだよ。ちょっと叱られるとウジってなっちゃうでしょ?

昔は体罰に関して厳しくなかったから、いろいろ激しかった。先生から急に殴られたこともあったよ。当時は先生って絶対だったから、家に帰って先生にされたことを親に報告すると「お前が悪いに決まってる!」って親からもう一回殴られるの。

それにもかかわらず、自己肯定感が低くならなかったのは、地元のおじちゃんやおばちゃんがいたから。「まぁそうはいってもいいじゃないの」というような感じでいなしてくれてたからね。

血が繋がってなくてもそういう人間関係を作っておいたほうがいい。ナナメの関係が豊かな子の方が、ちょっとくらいの人間関係の揺れにも耐えられる。これはものすごく大きい。

ー今の時代でナナメの関係を、この時代でどうやって作っていくのがいいのでしょうか?

藤原:自分が校長を務めた和田中学校でやった方法は、地域社会は後退しているんだけど、もう一度学校の中に地域の人たちが入って来られる場所を作った。

よのなか科」っていう総合とか道徳の授業で、地域の人と子どもたちを一緒に議論させるということをずっとやってたわけ。そういう学校という場所を使って、授業の中に地域の大人を入れて、ナナメの関係を生徒との間に作っていくっていうのは、学校ができることの一つではあると思うのね。

父親・母親という役割もネットワークで考えるべきじゃないかな。完全な父親と完全な母親のコンビなんていないんだから、足りない部分はいろいろなネットワークから持ち寄る。そういう足りないところをコミュニティで補って子育てする、という考え方を絶対取った方がいいですね。

オンラインサロンは、昔あったコミュニティの機能の一部を代替していっているとは思いますよね。オンラインが起点となって、リアルなコミュニティを形成してるわけでしょ。それは一つのカバーの方法だとは思う。



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書き起こし:橘田佐樹

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編集:奥村佳奈子

京都文化と着物が得意なライター▪️ビンテージ好きが高じて着物生活▪️編プロ🖋在籍時はガイドブック・情報誌の編集ライター▪️初心者さん向け着物アドバイス▪️帯や足袋のハンドメイド / ブログ

編集:Nobuhiro Arai

撮影:池田実加

Laboussole,LLC代表。事業内容:ノベルティ、オリジナルグッズ製作。ホームページ、動画、配信事業。商品企画開発とカメラマン担当。 好きなもの:旅、食、写真、ものづくり。ノベルティサイト note

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