
人のことなんて何もわからない。だから自分が『読みたいことを、書けばいい。』
電通を辞めていなかったら?
──もし、西島(知宏)さんから誘われて書き始めなかったら、今も電通社員を続けてるってことですか?
田中:電通はなんとなく向いてなかったから。24年経って向いてないことがわかったんですよ。ちょっと遅かったよね。3ヶ月くらいでわかるようなもんだけど。なんで辞めなかったと思う?
──お金……?
田中:大正解!僕はそんな下品な言葉は使わないよ。
──過去のインタビューを拝見してたら、何度も入院されていると言うことだったので。
田中:お金がね(笑)。
スケジュールって知ってる?便利な言葉なの。
広告作ってる時にクライアントが無理なこと言ってくるわけ。「今度のCMさー、ディカプリオなんかどうだろう?」って。俺たちは絶対否定したらあかんから、「いいですね、ディカプリオ!」でもね、ちょっとスケジュール(お金のジェスチャー)が合わないんですよね。ディカプリオ、4月はスケジュール(お金のジェスチャー)が合わないから…。
これ、一番役に立つ言葉ですよ。いっぱい業界用語がありますからね、逆さ言葉とか。「パイオツカーデー」とかよく言うじゃないですか。
一番僕が24年間で習得した業界用語は「カンカイキンネンセイコウ」。これはね「厚生年金会館」。これを噛まずに言えるようになるまで24年間。これを噛まずに言えるようになったから辞めました。
西島さんのその質問に戻ると、それは息抜きだったんですよ。Twitterでたまに映画のこと書いてるから、書いてみて。一行でいいっすよ。一行書いてみたら、一行じゃおもんないな、って思って。7000字、8,000字、10000字と増えていっただけで、自分の暇つぶしだったんですよ。
それでも、仕事にしようなんて思って無い。だってお金ないし、辞めてからも2年半はお金ないし。それって、僕にとっては書くって仕事じゃないんですよ。これからも仕事じゃないですよ。

田中:書くことを仕事にしようなんて、思いすぎじゃないかな。だって、書くことだけで食えてる人なんて、日本に何人いる?
日本に10人くらいしかいないんじゃないの?昔はもっといたと思うよ、昭和は。でも、2000年代に入って、本で大儲けした人はいないんじゃないかな。書くことを仕事にしようって言う人がいたら僕は、糸井さんと同じで仕事しながらやった方がいいと言う。
二人は、書くことで食えてるんですか?
──バイトしてます。(奥村)
田中:それがいい状態だと思いますよ。
(浜田さんは)書くことで家計を支えてるんですか?
──いや、支えられてるとは言えないですね。(浜田)
田中:そうやろ、それが普通なんです。で、本業として面倒な時給なり月給なりの仕事があるじゃないですか。それは超愉快とは言えないですよね。
だからこそじゃあライターもやってみようっていう時に、そっちも苦痛だったらもう人生どうするのっていう話ですよね。
そっちも依頼主の注文に応えて「これ刺さらないんだよねダイエットに。書き直して」て言ってリライトしてまた何か書かれて、とか嫌なことがいっぱいあって。
「どうもー。佳奈子です」って言うても「お前は佳奈子じゃない!」って言われて、それは辛いことしかないじゃん。
それだったらnoteでタダで書いてもいい。だから僕の場合は生活とは関係ない、でも人に言われてやるっていうベストなパターンだったわけよ。こういうものを見つけられるといいんじゃないですか。
いいこと言ったでしょ。でも忘れないで、今日は最終的には多宝塔をみんなに買わせる為に来ています!めっちゃ荷物やで。岐阜まで大変!
──新幹線乗らなきゃいけないのに。(氷上)
田中:それは別料金。一席分要ります。コントラバスと一緒。
電通以外で入りたかった会社、就きたかった職業は?
──電通以外で入りたかった会社か、就きたかったと思う職業はありますか?(遠藤)
田中:全くなくてね。僕は、学生時代、渋谷の街をうろうろしてたら、学生企業にスカウトされたんですよ。この話はどこでもしてるんですけど。
そこで30人ぐらいの集団の中でみんなが成功目指してたんですよ。
そこにいた人間たちが作った会社が GMO、DeNA、ザッパラス、インテリジェンスとか。今、東証一部上場企業の経営者たちなんですよ。その時は18、19、20歳くらい、みんな。おかしいでしょ、30人の集団でその中で10何人が上場してるわけだから。そういうグループにいたの。
でも、それもスカウトされたの「来てみないか」って。1年間やったけど、こいつらすごいなと思って。超人レベルなの、やっぱり物の考え方が。
その時に悟ったのは、18の時に従業員5000人、売上高5000億の 会社を作るって決めないと、もうそれは無理。それぐらい目標立てないと無理ですよ。絶対上場するって。
20代とか30代とかになって「私は成功する」とか、「僕はメソッドを学んでステップアップする」って思ってるやつは遅いってことよ。
日本には本当に成功したかったら、18歳の時に誰にでも東大に入れるチャンスがある。それに入ってない時点でぼやっとしてる。ぼやっとしている自分を認めずに30代とかになって「自分は成功する」って遅い。
ぼやっとしている人は、ぼやっとしている性質に生まれているから、ぼやっと生きた方がいいんですよ。幸せ度が高い。だって東大に入って35歳になってるやつと、ぼやっと生きてきて35歳になったやつとでは、全然道が違うよ。
もしくは5000億円企業を作るって決めたやつと、なんとなく勤めて35歳になったやつ、全然道が違うよ。じゃあもう乗り遅れてるんだから、ちっちゃい成功を必死になって追い求めたってしんどい。というのが僕の持論。

田中:楽に生きよう。
スタート切ってるやつは子供の頃からリトルリーグに入って、メジャーリーグに行くわけだから、スタートが違う。
じゃあ仕事も一緒でその学生企業に1年いたけどこいつらにはついて行けない。メジャーリーグ級の資本主義の中で、メジャーリーガーになれるやつらやったやから、実際そうなったし。
じゃあ俺の場合はというと……。1年でそのグループを抜けてトラックの運転手になったんですよ。で、トラックの運転手をずっとやってる間になんとなく就職活動の時期が来たから就職活動した。で、なんとなく電通に入っただけなのよ。で、入ってみたらスケジュール(お金のジェスチャー)がすごいのよ。だから辞めなかった。 でも向いてないと思った。広告が得意なやつはいっぱいいるからね。どんな世界にも得意な人はいっぱいいるじゃないですか。
──それでも、長く勤めてましたもんね。
田中:スケジュールね。(ジェスチャーつきで)
だから質問にお答えすると全く目標がなかったので、何になりたいとかっていうのはなかったです。それも電通にたまたま受けに行ったら、内定って言われたから言っただけ。何もない。
だいたいね、何かになりたいっていう気持ちがあったらこんなに太ってるわけがない。人の体を見てものを言ってくれ(笑)。
──ありがとうございます。
“ボケ”とは仮説を立てることである。
──ライブ配信を見ている人から質問が来ていて、ひろのぶさんはいつ頃からボケ倒しているんでしょうか?ボケ倒す癖はどうやったら身につきますか?
田中:それはねボケ倒すのは子供の頃から。大阪の皆はボケ合戦だから。
それと、癖はさっき言ったように、身につきます。こないだもね電通の橋口幸生さんっていう人と対談をして言ったことなんだけど、何歳からでも面白くなれる。面白くなるにはさっき言ったように観察すること。面白いことを言ったやつをメモってでもいいから。あの、『メモの魔力』(笑)を発揮して。
「こういう時に言ってやろう」とか、小話でもいいですよ。小ネタでもいいから「これは使ってやろう」と思うこと。それからあとこれはいつも言うんだけど、「嘘を言うことで自分の信用を作る」。
つまり、「それは違うよ。僕はこう思うんだよ」とか、「君は知らないだろ、ほんとはこうなんだよ」って言うのは全部マウンティングやん。
じゃあ会う度にマウンティングするような奴に信用はあるか?って。その反対を考えてみましょう。会うたびにカワウソの話をする奴は、マウンティングをするやつより100倍信用があるわけですよ。

田中:マウンティングする奴はみんな嫌でしょ。でもカワウソの話はまあ許せるでしょ?
じゃあ中途半端な知識で人に説教するよりも、カワウソがラッコであることを追求してることの方が信用があるんですよ。ボケるっていうのはそういうことです。
あとは、これはすごく大事な話。ボケるってどう言うことかと言うと、現状の認識があるじゃない、この世界の中に。ボケると言うのは、一つ仮説を立てるということ。「これはこうなんじゃないの?」と、ちょっとずれた仮説を立てること。(ペットボトルを見て)「え、これ検尿ちゃうん?」ってボケたとするじゃないですか。そしたらツッコミの人は「これは、おしっこなわけないだろう」って。これはわかってることだから。全く意味がない。
ツッコミとはそういうこと。ヒエラルキーが低い。ボケっていうのはつまり「これが尿じゃないか?」っていう仮説を立てる時点でボケが成立する。
でもおしっこじゃあ下品で面白くないから。次の人は「これは尿より面白い液体である」という次の仮説を立てるんですよ。これがボケということ。
仮説がずっと発展していって最後にここにいるみんなが、この液体が本当に何かわからなくなった時点がボケのエントロピーなんですよ、ゴール。全員が幸せになれる。
だからご質問に答えると、こうするとボケられるようになります。
・まずメモを取ること
・いつも通りの日常に仮説を立てましょう
ある仮説が面白いし、仮説をさらに被せていくのがボケを重ねるって事。ツッコミは不要。そして審査員になるな。 以上です。
──めっちゃいい。あ、「めっちゃいい」は審査員ですね。しまった!
お話ありがとうございました。
今回のインタビューのダイジェスト動画も公開しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
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ライター、編集者。企業で10年ビジネス文書の作成→キャリア0からライターに→2017年開業、屋号は「コトバノ」。 #前田デザイン室 『#マエボン』『#NASU本 前田高志のデザイン』編集長。日本一のオンラインサロン編集者を目指す。セミナーもはじめました。アボカドのぬか漬けと明太子が大好き。ご依頼・お問い合わせはDMで。

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