普通、ミドル、平均的なものは全て駄目。極端じゃなきゃ駄目なんだ。見城徹×箕輪厚介 師弟対談

箕輪厚介が各界の著名人を招き、今や箕輪編集室の名物イベントとも言える「月イチ定例会」。

記念すべき2017年7月24日の第一回目の定例会は、ゲストに株式会社幻冬舎 代表取締役社長 見城徹さんを招き「最初で最後の熱狂編集塾」と題してお話を伺いました。火傷しそうなくらい熱い言葉が飛び交う、箕輪さんとの師弟対談をぜひご覧ください。

「常に結果を叩き出す」それがいい編集者だ

箕輪

箕輪「編集室」のイベントなので、見城さんの編集論を聞きたいです。見城さんの「編集者としていい基準」ってどこにあるんですか?

見城

結果を叩き出しているかどうかだよ。俺だって、ずっと若い頃から「見城と誰々」ってライバルみたいなやつらと比べられてきたんだよ。

箕輪

全然知らなかったです。「圧倒的に見城徹のみ」ではなかったんですか?

見城

そうじゃないんだよ。みんな消えていって俺だけが残った。

箕輪

消えちゃう人って、現状に甘んじちゃうんですかね?

見城

理由はわからない。俺は、自分の思う通りにやっているだけなんだけどね。常にヒットを飛ばしているし、昔からぶれていないというのはあるかもしれない。

書き手に発見や刺激を与えられなかったら、編集者の敗北だ

箕輪

見城さんは、相手が大企業の社長であってもはっきりモノを言いますよね。「君からその看板をとったら何が残るんだ!」って。

見城

俺は、ブランドとか看板を使って生きてこなかったっていう自信があるよ。ずっと個体として戦ってきた「角川書店の見城」として仕事したことはないね。だから幻冬舎を作った時も、書き手のみなさんは付いてきてくれた。

箕輪

書き手の才能のあらゆる出口をプロデュースできる人が、これからの編集者であるべきだと思っています。見城さんは、それをずっとやってきた人ですよね。たとえば尾崎豊さんの事務所を作っちゃたりとか。

見城

尾崎が「全てをなくした、見城さんなんとかしてください」って頼ってくるわけだからしょうがないよ。だから不動産屋を回って事務所を決め、お金と人を集め、“アイソトープ”っていう事務所を作った。もちろんこんなことしても俺は1円たりとも儲かってない。でも尾崎の音楽以外の表現、特に文章は、俺がやると決めているから当然のことだよ。

箕輪

見城さんがすごいなって思うのは、著者と編集者という関係を終えても、人生の相談相手になるじゃないですか。石原慎太郎さんも村上龍さんもそうでした。他の出版社にも、もちろん担当編集はいるんですけど、そういう人たちとは圧倒的に違いますよね。

見城

やっぱり俺は著者に対して、一個人として、個体として向き合ってるからだよ。本を作っておしまい、という関係ではこっちも面白くない。書き手をどうやって刺激して、作品を作らせるかっていうことがすごく大事。そのために編集者は存在している。書き手に新しい発見とか刺激を与えられなかったら俺たちの敗北だよ。

“社会から滑り落ちてしまうほどの変態性や個性”をいかに引きずり出すかが編集者の仕事だ

見城

本をどう売るのか、プロモーションするのかにおいて、俺以上にできる人は中々いないだろうという自負はある。あらゆるメディアと密につながっているから。

箕輪

ワイドショーで話題になってる人って、必ず見城さんのところへ行きますよね。自分の猛烈な葛藤とかそういう誰にも言えない気持ちを、この人ならわかってくれるんだろうなと思って頼ってくるんでしょうね。

見城

そうだね。共同体からはみ出した人たちから熱烈な手紙をもらうよ。

箕輪

『編集者という病』に書かれているんだけど、「100匹の羊の群れがいて、それから外れてしまう1匹の羊、共同体から外れるものが文学だ」と。

見城

共同体から滑り落ちる人のことを、変態とか犯罪者とかいうわけじゃないですか。でも必ず100匹の群れから滑り落ちてしまう一匹は存在する。そういった変態性とかは誰もが持ってる要素。

人を殺すことが快楽になる人もいるけれど、それを現実にやったら捕まって死刑になったりする。だけど、文学だったり、絵、音楽という手段をもって自身の想像力としての表現で作品を作る限りは何も咎められることはない。

ゴッホは、絵を描かなければ救われなかったし、モーツァルトも音楽を作らなければ生きていけなかった。ドストエフスキーだって同じだよ。

だから俺は755のやりとりのなかで「小説家を目指してます」とか見ると「あなたダメですね」って返答しているよ。小説家なんて目指してなるものじゃないんだよ、ならざるを得なくしてなるものなんだ。

ただ、モノを書くにしても日記のように自分本位のことだけを書いた「自己恍惚的な表現」は普遍性を持たないから評価されないよ。作品として評価されるためには、思っている以上にたくさんの壁がある。その壁を突破していくためにも編集者の力が必要になってくる。

箕輪

編集者は、著者からいかに「変態性とか個性」のような個体としての魅力を引きずり出すかってことですよね。

「これだ!」と納得する言葉を獲得するまで、考えて考えて考え抜く

箕輪

見城さんがすごいのは、プロモーションの命がけ感が半端ないところです。特にコピーがすごい。「憂鬱でなければ仕事じゃない」とか、「顰蹙は金を出してでも買え」とか、誰にも思いつかないものばかりをいくつも考えつくじゃないですか。

見城

俺は、人生格闘しながら生きているよ。言葉を持っているのは人間だけだから。今感じたこと、表現したいことを言葉を使ってどうやって正確に表現するか、ひたすら葛藤して格闘するわけだよ。そして、自分だけにしか持ちえない言葉を獲得し、肉体化していく。

言葉を獲得するというのは、生きるということと同じ。言葉を曖昧にする人は、人生がブレたり、どこかが足りなかったりする。そんな人は、自分の人生を生きていないんですよ。

箕輪

たしかに見城さんって、普通の伝達事項みたいなことでも、自分の思考と少しでもズレていたら正確に伝え直しますもんね。

見城

そう。帯文とか、新聞とかの広告の文句とか、考えて考えて考え抜くよ。車に乗ってても、ベッドにいても、会社の机にいても、トイレにいても、ずっと考えてる。俺は最後の最後の最後まで何度でも直すよ。自分が「これだ」と思う言葉を獲得できるまで徹底的にやる。

普通なのは駄目、ミドルなのは駄目。平均的なものは駄目。全て駄目。極端じゃなきゃ駄目

箕輪

双葉社で見城さんの『たった一人の熱狂』を作っていた時に、見城さんから「俺が金を出すから幻冬舎のデザイン室で広告を作るぞ」と言われたんですよ。本来は双葉社のやる仕事なのに。あれには驚きました(笑)。

見城

双葉社の広告の作り方が普通でつまらなかったからだよ。だから俺が広告を考えた。

箕輪

それでもの凄くかっこいい広告ができたんです。

見城

だって俺の本だもん。俺が伝えたいことをちゃんとした宣伝文句にするよ。普通なのは駄目、ミドルなのも平均的なのも駄目。極端じゃなきゃ駄目なんだ。

箕輪

あれを入稿したときの双葉社のゲンナリ感と僕に対する苛立ちはすごかった。「俺らが駄目だって突きつけられてるみたいじゃないか」って。見城さんが作り上げた広告からは執念というか怨念さえ感じましたよ。

見城

たとえ広告であっても流れ作業になるのだったら、やっても意味がない。資本も歴史も何もない新しい出版社の幻冬舎は、業界にはない全く別の手法を使うしかないからね。

感想こそ人間関係の最初の第一歩

見城

箕輪とはこんな風に喋ってるけど、実はそんなに付き合いが長いわけじゃない。俺が755というSNSをやり始めたら、当時双葉社にいた箕輪から“やじコメ”ってのが来たんだよ。「見城さん、この755の内容を本にしたいんです」って。安易な奴だなと思ったよ。でも一応はきちんとした答えを出そうと思って返信したはず。

箕輪

「本にならないと思うよ」とおっしゃっていましたね。

見城

そうしたら、その後に長い手紙が来たんだよ。「あっ、こいつ、755で俺にジャブを打ったんだ。この手紙がKOパンチなんだ。」って感じた。
その手紙には、書いた本とか出演したテレビ番組とかに対して色んな感想がもの凄く丁寧に書かれていて「へぇ、こいつこんなに俺のことよく解ってるんだ」って思った。これには少々驚いたし刺激を受けた。だから会ってみることにした。そんなもんだよ、人間って。

箕輪

見城さんは気づいていないと思うし、意味のないことですけど、見城さんが札幌の出張の時に、わざわざ札幌から手紙を出して、「こいつすげえな」ってのを演出したりしてました(笑)。

見城

へぇ。それは気付いてないし、凄いとも思わない(笑)。それくらいは覚悟があれば誰でもやるでしょう。でもとにかく、俺に対して凄く熱狂しているのはひしひしと伝わって来た。あんな内容は誰も書けない。

手紙の話でいうと、毎日のように僕のところへ大量に手紙が来るんだけど、どれを読んでも送り主のことしか書いていないんだよ。「今、私はスイスにおります」なんてことが書いてあってもそんなこと知らないよね。せっかく送るんだったら、こちらのことを書いたほうが印象に残るよ。でも箕輪が書いた手紙には、箕輪自身のことだけじゃなくて俺のことがしっかりと書いてあった。

箕輪

僕は、見城さんの本を読みまくっていたから、見城さんの手紙に対する考えが「自分のことを手紙に書く奴は最低だ」っていうのを知っていましたからね(笑)。だから自分のことは、何者かが分かるくらいしか書かなかったですね。

見城

人を落とすっていうのは、それくらいの気持ちがなきゃ駄目ですよ。
俺が新入社員だった時に初めて会った石原慎太郎の前で『太陽の季節』と『処刑の部屋』を暗唱したことがある。全部暗唱できたけど、1ページ分くらい暗唱したら「もういい。わかった。俺はお前と仕事するよ」って言われた。

箕輪

だから「担当作家が見つからない」とか言ってる若手は本当にあり得ない。そこまでやりきってしまって「いない」とか「口説けない」って言うならまだしも、大したことない感想を送って「無理でした」じゃお話にならない。

見城

俺は「感想こそ人間関係の最初の第一歩」って言ってるんだけど、みんな感想を送ることすらしないでしょ。

箕輪

僕、見城さんが『アナザースカイ』に出演した時、番組が終わって提供が流れ始めた瞬間に感想の電話しましたよね。

見城

(笑)。自分が心を込めて何かした時は、感想がほしいもんだよ。当たり前じゃない。タレントでも、ミュージシャンでも、書いたり、曲を作ったり、演じたりしたらすぐ感想を言いますよ。俺はそういったことをずっと続けてきたんだよ。

だから俺に対して感想を言わない奴は、やっぱり嫌だし付き合えないよね。もちろんガキじゃないから、何もかも感想を言ってくれなんて思わないけどね。

箕輪

世間話のノリで「あれよかったですよ」って言われても、全然響かないですよね。

見城

そうそう。感想言うことによって、その人の薄っぺらさがわかっちゃう。一生懸命書いてくれてるのはわかるんだけどさ、なんか一般的な手紙はダメなんだよね。何度も言うけど一般的、ミドル、平均的、そういうのはダメ。

箕輪

何かが滲んでないわけですね。

見城

極端な中にしか成功なんてないんだよ。だから極端を目指していけば、結果は出る。そのためには自分がボロボロになる、自分が本当に苦しい思いをするっていう覚悟を持って極端を目指さなきゃダメなんだ。


実際の定例会は、このような量と密度の濃い話が繰り広げられています。気になった方はぜひ箕輪編集室へ。箕輪編集室では、過去のイベントや定例会の動画をアーカイブ化していますので、気になった時にいつでも見ることができます。

この記事に携わった人たち
書き起こし:井本佳孝

Web編集者。1987年兵庫県生まれ愛知県育ち。AB型。サッカーのフリーペーパー制作に携わりライター・編集者を志す。フリーでのライター活動(兼業)、サッカーサイトのWeb編集、スポーツサイトの更新・運営業務などを経て、音楽サイトのWeb編集に携わる。 箕輪編集室ではライターチーム、部活(フットサル、音楽)などで活動。

書き起こし:橘田佐樹

地方の大学生。ライター。箕輪編集室ライターチームのリーダーを務める。2019年7月発売『戦略と情熱で仕事をつくる』ブックライター。 さまざまな人物と会い、インタビュー取材することが好き。

書き起こし:石川遼

主にサッカーとそのまわりのビジネスを取材しています。執筆と編集と撮影。趣味はポケモン。実はTOEIC900点超え。名前だけでも覚えて帰ってください。

編集:浜田綾

ライター、編集者。企業で10年ビジネス文書の作成→2017年開業、屋号は「コトバノ」。 #箕輪編集室 の電子書籍『嫌われ者たちのリレー式コンテンツ会議』編集リーダー、 #前田デザイン室 『#マエボン』『#NASU本 前田高志のデザイン』編集長。日本一のオンラインサロン編集者を目指す。

バナーデザイン:瀬口隆志

現場でグラフィックデザインをしながら、グラフィックデザイン事務所とカレー屋さんとアパレルの生産管理の会社を経営していましたが、そろそろリセットボタンを押してしまいたい!!!という願望が抑えきれなくなって、そろそろニートになります。

箕輪編集室への入会はこちら

CAMPFIREファンクラブのプラットフォームを使用しています。以下のリンクから申し込みをしてください。

入会申し込みサイト(CAMPFIRE)

箕輪編集室へクリエイティブのご相談

箕輪編集室のクリエイティブ精鋭部隊によるクリエイティブ制作を行っております。まずはご相談ください。

お問い合わせ